【MBA授業まとめ③】Future of Work

入学する前から取ることを決めていた唯一の授業。教授は、安部元首相の人生100年時代構想会議メンバーにも選ばれていたリンダ・グラットン氏。

Twitterの自己紹介欄には ”Mother of Christian and Dominic, Professor at London Business School, founder of HSM, writer and researcher, traveller and occasional painter” と書いてある。実際、親しみやすさと気品を合わせ持ち「Authenticity」を体現する素晴らしい人格者だった。

下記の項目でまとめています。あくまで自分の脳内目次用なので、書き方は雑です。

  • 授業概要
  • 学び(ランダム)
  • 感想・思い出


授業概要:

  1. 人生100年時代で「働き」、「生きる」ことに関連するトレンドの理解(テクノロジー、環境・資源、グローバルリバランシング、寿命の長期化)
  2. 実際の「働き方」、「生き方」の変化の論点とそれを踏まえた自分自身の現時点版の人生100年計画の作成
  3. 教授は Lynda Gratton | London Business School

 

学び(個人的に印象深い学びをランダムに羅列、授業で出てきた順番):

  1. タスクはルーティン・ノンルーティンとアナリティカル・マニュアルの2軸で分けられる。AIによる代替が進むのはルーティンタスクで、ノンルーティンのマニュアルタスクの代替は限定的でノンルーティンのアナリティカルタスクは強化・拡張される
  2. 一方で新しい職業・需要が急拡大する職業も出現...前者の例はChief Listening OfficierやSocial Media Manager, Community Managerなど、後者はエンジニア全般
  3. Upskilling/reskillingの重要性がこれから益々増していく。生涯学習・人生における複数回のフェーズ変化を受け入れる準備はマストになり、市場としても成長が見込まれる
  4. 人生100年時代を考えるときに、世代を超えた環境・資源の平等の問題は切っても切り離せない。今日の権力者・意思決定者は、100年後の悲劇の被害を受けることは無い
  5. 当然、同世代間での不平等にも目を向けることが必要。事実としてリーマン・ショック・コロナ禍で最も職を失ったのはマイノリティ、女性、教育レベルの低い層
  6. テクノロジーの発展は多様性の無い偏ったコミュニティの増加に繋がる危険性を孕んでいる。今日、自宅にいながら世界中の同じバックグラウンド・思想を持つ人と繋がることが出来るが、それは偏った思想の先鋭化にも繋がる
  7. 人生は100年時代に留まらず、110年、120年と伸びていくかもしれない。UCバークレーの研究では2007年生まれの日本人の半分は最長107歳まで生きる、という予測もある
  8. 平均寿命についても不平等の問題が陰を潜めている。平均寿命に対し、上位10%のお金持ち男性は5.9年寿命が長く(女性は3.1年)、下位10%の女性は2.1年短い(男性は1.7年長い)
  9. 自分がいつ頃、国の平均年齢を超えるかを意識すると良い。今の日本の平均年齢は48歳。2050年には53歳になることが予測されており、今30歳の場合、平均年齢を超えるのは2040年頃。ちなみに米国は今日 41歳→2050年42歳でほとんど変わらず、中国は37歳→48歳と急激な高齢化が進む予測
  10. 英国の調査で人生の満足度には年齢による浮き沈みがあることが明らかになっている。満足度が最も高いのが~19歳と65-79歳で最も低いのが40-59歳
  11. 旧来の人生は教育ステージ→働くステージ→引退後のステージの3段階に分かれていた。しかし、今後はマルチステージな人生へと移り変わっていく。それは、教育、労働、休息(探索)を順不同で幾度も繰り返す人生。労働は自営・フリーランス・組織に所属×有償・無償のいくつかの立場の組み合わせとなる
  12. 今後は女性の社会参画は勿論だが、シルバー人材、シーソーカップル、フリーランサー、マイクロアントレプレナーなど多様な人材・在り方を包摂する社会設計が必須
  13. 仕事の生産性を考えるときはEnergy, Focus, Coordination, Collaborationの4つの軸で自分の労働環境を評価すると良い。一般論としては、リモートワークはEnergyに優れており、Collaborationには向かない。勤務時間のフレックス制はFocusに優れ、Coordinationに向かない
  14. 次世代のリーダーに必要な要素の核はWorld viewとAuthenticity。World viewの周辺要素としてShort termism, emboldened followers, infomed foresight, broad alliances. Authencityの周辺要素としてはcitizen activism, increased transparency, self knowledge, crucible experiences
  15. 自分の人生のおける4つの資産(productive asset, vitality asset, transformational asset, tangible asset)のスナップショットを確認出来るツール→Diagnostic – The 100-Year Life
  16. 授業の締めくくりとしてリンダ氏から提示された人生100年時代をより良く生きるためのキーワード...時間感覚を掴め、ありたい自分を常に探求し続けよ、境界を越えて協働せよ、ソーシャルな時代に隠れる場所は無いと知れ、大切に思える人との繋がりを重視せよ、絶対的権威の存在しない正解の無い時代に入りつつあることを認識せよ

 

感想・思い出:

過去に著作を読んだことがあったために授業内容自体には目新しさは無かった。

しかしながら、自分の生き方を見つめ直すのにはとても良い機会となった。というのも、自分の人生100年プランを作成する課題があり、2000 wordsで言語化することが求められたため、いかに自分が人生100年の中で30-40代のキャリアと家庭についてしか考えていないかを実感したからである。100歳まで生きるとしたら、子供が巣立ち、職場では若干老害感を漂わせはじめてから、さらに50年の人生が残っており、そこで自分らしく、かつ築いた立場に固執・依存することなく生きるには仕事以外の社会的活動・趣味等の分野での早めの種蒔きが重要と実感した。具体的にはPhDの取得やNGO/NPOでの活動、継続的な趣味に時間を使うことなどを意識的にやっていきたいと思っている。抽象的ではあるが、キャリアの山場が30-50代だとしたら、人生の山場を60-70代(80代?)に持ってこれる様な生き方をしたいと思っている。また妻と自分のお互いのキャリア(職業に関わらず、広い意味で)に対する見方も再確認出来た。端的に言うと、短期的には困難を伴おうとも、やはりお互いキャリア・やりたいことを追求した方が良いということを確認出来た。(そうしないと、子育てを終えて50年くらい暇になる...)妻も人生100年計画を作ってくれたので、お互いの人生の時期ごとの期待値が擦り合わせ出来たのも良かった。

また健康の重要性も再認識し、この授業を受けて以来1日1万歩、歩くことを続けている 笑 (今のところは、割と実践出来ている日が多い)


他の雑多な思い出としては...
・「今日、午後にCovidワクチンを打ちにいくのよ~」と教授が言っていた日があり、英国では本当にワクチン接種が進んでいるのだなと実感した

・ランダムにアサインされたグループで課題に取り組んでいた際、3000 wordsの課題をチーム5人で分担しようとしていたところ「全部、私に書かせて!」という、なかなか斬新な主張をする方がいた。結局、引っ越しが大変?という謎の理由で全部書くどころか、自分の担当部分すらテキトーにしか書いてくれなかった

・リンダ氏は相当な日本びいきで、めちゃくちゃ日本の話をするのだが、大半の生徒が興味が無さそうで、日本人としては何とも言えない気持ちになった。と同時に、日本が少子高齢化、財政等の領域で課題先進国であるという認識は他国生徒にも強くあり、日本がそれらへどの様に対応していくのかは「見られている」とも感じた

・リンダ氏は日本人生徒には大変人気なのだが、他の国の生徒にはさして人気が無い様で、授業の座席数に余りがあり聴講生の募集がされていた。論理が飛躍するが、こういう「世界中で話題になっていると思っているけど、実は日本だけ」みたいなことは、割とあるのだろうな思い、物事を多角的に観ることの重要性を感じた