【MBA授業まとめ⑮】Digital Strategy

デジタル戦略というふわっとした言葉をテクノロジー×ビジネスモデルの視点で分解していき、主要論点をケースを通して学んでいく授業。

 

下記の項目でまとめています。あくまで自分の脳内目次用なので、書き方は雑です。

  • 授業概要
  • ケース・事例とキーワード
  • 学び(ランダム)
  • 感想・思い出

 

授業概要:

  1. デジタル戦略の分解、主要トピックのケースを活用した把握
  2. 教授は Keyvan Vakili | London Business School

 

ケース・事例とキーワード:

  1. Blockchain in supply chain (IBM & Maersk)
  2. Valve (Steam)
  3. UBER
  4. Netflix
  5. Toys R Us

 

学び(個人的に印象深い学びをランダムに羅列、授業で出てきた順番):

  1. 「デジタル」を標榜するビジネスモデルはデータ(ソース)×データの処理×コネクティビティ×アルゴリズムの4つの視点で捉えると良い。各要素で何が革新的か

  2. 「デジタル」と一言で言っても技術~ビジネスモデルまで広範な範囲をさす。単なる技術・機能もあれば、ビジネスモデルとして確立しているものも存在

  3. ブロックチェーンにおける2.の混同の例としてIBMMaerskによるsupply chainにおけるブロックチェーン技術利用がある。ブロックチェーンありきでプロジェクトが進められたため、そもそものSupply chainの課題であったデジタル化されていないペーパーワークの多さ、違法・脱法等の本質的な課題を解決出来なかった (ブロックチェーンの技術の詳細は Fintech の授業の 学びの8.以降と同内容)

  4. 非常に基本的だが「デジタル」を考える際に1. のレンズで「デジタル」を標榜する技術・ビジネスモデルを深く理解するとともに、「デジタル」のアプリケーション先となる産業・業界・起業の課題を深く理解することが必要。真の課題を深く解決していない「デジタル」に持続的なニーズが存在することは無い
  5. マルチサイドプラットフォームはプラットフォームの両サイドが直接取引・インタラクション可能なビジネスモデル。単にオンライン化された卸や小売りはマルチサイドプラットフォームでは無いので注意が必要

  6. マルチサイドプラットフォームであれば各サイドそれぞれ・両サイド相互に正・負のネットワーク効果が働く。例:各サイドの正→より多くのプレイヤーが存在するゲームに人が流れる、各サイドの負→より多くの類似店舗が存在すると競争が激化、両サイド相互の正→利用者はより多くのコンテンツがあるプラットフォームを好む、両サイドの負→広告配信が多すぎるプラットフォームを利用者は避ける
  7. マルチサイドプラットフォームの特徴:急速な成長(と衰退)、プラットフォームの各サイド・相互のネットワーク効果、Winner-take-all、高い利益率、テクノロジーによる参入障壁の低さ、鶏・卵問題、オープンさ・コントロール・ガバナンスのバランスが生死を決める
  8. マルチサイドプラットフォームの創出価値:探索・顧客獲得・取引コストの低減、情報・コミュニケーション・デリバリー・信頼(評価)へのアクセス・利便性の向上
  9. マルチサイドプラットフォームの成長とマネタイズ:鶏・卵問題が存在する中で価格感度・マルチホーミングコスト(例:類似アプリを利用しない)が高く、ペインが深く、プラットフォームの逆サイドへの提供価値が高く、かつ同サイド内で正のネットワーク効果が働くサイドにプラットフォーム参加の強いインセンティブを付与するのが定石。(実際はこの視点で両サイドをみながらバランスを調整)マネタイズについては1つのモデルに固執せずプラットフォームの成長ととおもに上記視点を持ちながら柔軟に変えていくことが肝要
  10. プラットフォームビジネスの鶏・卵問題の解消法:両サイドへのインセンティブ付け→ネットワーク効果が小規模で効く場合に有用だが資金力が必要でインセンティブを無くした場合のネガティブインパクト大、片方サイドのみのビジネスとしてスタート→Steam、Amazon Bookstoreなど、ただ乗り戦略→プラットフォームの片方の情報を公開データ・他プラットフォームからのデータ転用で充足、高付加価値ユーザー購入→プラットフォームの片方の利用・消費に一定の偏りがある場合、アイコニックなユーザーの購入を行う
  11. プライシング...サブスク or 従量課金の視点:CSの必要性(サブスクの方が定常的関係性な構築をしやすい)、プロダクト・サービスのコスト構造、利用機会・頻度、顧客タイプの分散度合い、ロックイン効果等
  12. 今日当たり前になっているnew technologyの市場は振り返ると往々にしてかなり過少評価されていた。”There' no chance that the iPhone is going to hit any significant market share" by Steve Ballmer MS CEO 2007, "I think there is a world market for maybe five computers" by Thomas Watson IBM chairman 1943, "Sizing the market for disruptor based on an uncumbent's market size is like sizing the car industry off how many horse there were in 1910." by Aaron Levie 2014
  13. 市場の特定・Winner take all or not?:ネットワーク効果マルチホーミング・スイッチングコスト、差別化余地でおおよそ規定される。例えばUBERをドライバーの視点から考えると....ネットワーク効果→自分の稼働地域の利用者が一定数以上いれば良く地域性の高いネットワーク効果・ドライバー間では競合関係、マルチホーミング・スイッチングコスト→かなり低くドライバーは複数の類似サービスを併用していることが多い、差別化余地→各社がカーリース、ライド数に基づくインセンティブ付け等に取り組んでいるが本質的な差別化余地は少ない...結果としてUBERは特定地域ですらWinner takes all になっている事例は少なく、複数競合が存在する中でのmarket leaderか他競合に負けて撤退している(東南アジアのGrab, 中国のDidiなど)
  14. プラットフォーム間の競争:取りうる選択肢としては、差別化(追随されにくい特殊要因が存在する場合)、スピード・スケール勝負(リソースの差異が明確な場合)、M&A、カスタマーロックイン(ネットワーク効果が利き、マルチホーミングコストが高い場合)が考えられる
  15. 上記プラットフォーム間競争の結果として、エンタメ領域の各プラットフォーマーはオリジナルコンテンツ作成に注力する様になっている。Netflix, Spotify, Amazon, PS/Xbox/Nintendoなど。コンテンツ作成費用を売上原価、マーケティング/CAC 費用のいずれと見做すかで見え方が変わってくる。またDisney+の様にコンテンツホルダーが競争に参入する例も
  16. プラットフォーマー活用の際の視点:ポジティブ→顧客リーチの確保、マーケティングコスト低減、ネガティブ→ブランドコントロールの喪失、他ブランドとの均質化、顧客接点の喪失・顧客行動データのプラットフォーマーへの流出、プラットフォーマーとの交渉力差異の拡大、プラットフォーマー自体の競合化(Amazon Brand, AppleGoogleによるアプリ提供)=> 複数プラットフォームと自社チャネルのバランスで持続的な競争力を維持できるかという視点を持つ
  17. AI活用の5ステップ:ワークフローのマッピング→頻度×インパクトの軸での分類により、頻度が高くインパクトが大きい意思決定を特定→頻度(十分なデータがあるか)、データ収集可否、構造上の予測可否によるAI適用可能性の判断→意思決定構造の分析→AI戦略化(データ収集、人員側の再配置・教育、リスク分析)

 

感想・思い出:

  • 特にプラットフォームビジネスの考察は今後も定期的に振り替えることになろうと思うほど論点が多く興味深かった
  • Zoom授業に切り替わった初期の2020年3月頃に受けていた授業だが、授業の後半回で教授が空咳をし続けていて...(お察し)